馬 醉 木俳句会

~伝統と新しさ~

主宰:德田 千鶴子

師系:水原秋櫻子.

馬醉木俳句会は

更なる歴史を刻み始めました

今年も よろしくお願い申し上げます

おかげさまで2022年に
創刊百周年の歴史の通過点を迎えることが出来ました


2024年1月

asibihaikukai

探る手の

千の鶴飛び立つ万の羽音かな

臘梅や山のひかりに香を添へし

蕎麦が好き饂飩もしかり餅あはひ

春寒や溜息をふと聞かれたる

逆らはぬことにも慣れて春の虹

心にも欲しき炎やシクラメン

春の風吾の伸びしろ信じつつ

2024.3





初春や鶴亀睦む輪島椀

半襟に小花ちらしてお元日


縄跳をまはす青空入るるほど


初御空太極拳の息を吐く

餅花や純情といふ強みあり

燗熱く噂話につく尾鰭

冬蜂の歩む慰めなど要らぬ

2024.2

胸奥の灯


胸内に本音秘めたり炭を継ぐ
 
いつよりのひとりの卓や干菜汁

散紅葉老いの華やぎさも似たり

我が老いを肯ひてゐる柚子湯かな

こそばゆき父母の馴れそめ小春かな

生真面目な父の背中や冬木立

冬柏それぞれ人にある正義

千鶴子 
2024-1

百周年記念祝賀会

〜 来賓をお招きして 〜

馬酔木の先人たち
〜 馬醉木を築いた俳人たちのアンソロジー 〜

百周年合同句集

〜 会員の作品集 〜

千鶴子主宰あいさつ

〜 百年の道のりの感謝を 〜

山懐

秋蚕飼ふ秩父の山に守られて

三年を寝かすどぶろく通し土間

竹伐られ白壁にほふ郷土館

ひとときはゆるる狗尾草見て足りぬ

くるぶしを濡らしかき分け芒原

一言を謝れぬまま秋行ける

流るるに委ぬるもよし鴨の陣

2023.12

心支え

豊頬の信濃乙女や林檎買ふ

己が老認めたくなき夜長かな

駆けつこはもう出来ねども鰯雲

逆らはず従ひもせず鵙日和

秋うらら淋しがり屋は誰に似し

母といふ澪標あり秋の空

秋惜しむひとり外湯に身を沈め

2023.11

みちのくへ

天も地も傍若無人夏の果

立秋といへどまつはる風の息

~山形地方例会~
月山の見守る黄金稲雀

打ちなびき夕日に染まる蕎麦の花

喉ごしの最上の酒や月の宴

~最上川の一大難所なれば~
はやぶさの瀬音はぐくむ紅葉山

~茂吉、之を極楽と名付けたり〜

錦秋や茂吉のバケツに見えたる

2023-10


心晴れ


城濠をぎつしり蓮の紅白戦

雑草の傍若無人半夏雨

ショコラ売る花見小路の麻暖簾

打水に午後のもやもや収まりぬ

たぢろがぬ心願うてしづの女忌

かなかなや亡き人の鍵預かりて

冷汁に粕漬添へて母を待つ


  2023-9































途上

楠若葉天蓋にして怒髪天


泥鰌屋の老舗に今も下足番

夏の夜の夢会ふはずもなき人と

過ちに気付きてよりの溽暑かな

手探りの日々を重ねて梅雨の星

ほどほどといふ怪しさや鱧の皮

悼 夏生一暁 様

水無月や寡黙な人の永久の黙

2023.8





 旅路なほ

迷ひあらば鉢の目高を目に追うて
 
次の世は自由気儘に天使魚

幕の内弁当ハンカチを膝に

蘇る命ありけり新茶汲み

それよりの優しさと知る朴の花

旅の途の草笛吹けばなほ淋し
 

  悼 長谷川翠様

共に見し那智滝けふも白尽す

2023.7



母は子の応援団長つくづくし

野遊やポッケに溶けしチョコレート

桜蕊降る思ひ出かくも美しく

歳月も思ひも乗せて花筏

肝心なことはさて置き桜餅

仏間へと子猫も足を忍ばせて

母在さば足らざるはなし花万朶

2023.6

つづれ音

春雷の寸鉄受けしわが心

甘やかす己とゐたり苜蓿

チョコレート溶けてをりたる山遊

春節や赤金回る中華街

夕永しつい寄り道の立ち話


  とある演奏家をいたみ

花惜しむ逝きたる人を想ふかに

花舞うて魂永遠にピアニスト

 2023.5


交差

淡雪や反魂丹の老舗の灯

春嵐根といふ細きはた強き

二月尽何かを忘れきしやうな

下萌やいくつになっても反抗期

啓蟄や己騒がす腹の虫

沈丁花涙もろきは父譲り

春の虹優しき言に出会ひたり

2023-4
千鶴子

茶が咲いて明恵の寺の戯画絵巻

栂尾に聴く山の音雪の音

福水を硯に注ぎ天と書く

冬萌や人信ずるを憚らず

それとなく賜ふ幸せ冬日差

伝言板きれいに消して卒業歌

ふるさとの家に別るる春の雪

2023.3

千鶴子


風花や遂に吾には触れずして

落葉焚く忘れたきこと加へ焚く

蠟涙のともしび揺るるクリスマス

晩年を知らざる夫や燗熱く

冬の虹安堵といふはいつよりぞ

こなからを守るが習ひ年忘

冬銀河見えざるものをしかと見む

2023.2

千鶴子

吾へ

浜町に芝居小屋あり冬うらら

空深くまたあをあをと瓢の笛

子はまさに疲れ知らずよ龍の玉

てのひらに足らぬ熊手を
吾に求む

子ら帰り残りしおでんの
味しみぬ

幸のみの人生は無し冬の星

人生は片道切符冬ざくら

2023.1

千鶴子

黄落や利休好みの旅箪笥
 
言外に滲む本音や月に雲

負けん気のどんぐり
拾うては投ぐる

蟷螂や今は昔の子沢山

まるまるとおまけの金魚冬に入る

万病に効く薬とやそぞろ寒

定席は小上り一畳燗熱し


2022.12

千鶴子

夕空や群れて淋しき曼珠沙華
転ぶ子にちちんぷいぷい花野行く
長き夜や気づけば遅きことばかり
稲びかり言葉探して会ふ人と
湯豆腐や浮かびし父の長寿眉
べつたらや母産土の日本橋
ぽってりと敬老の日の玉子焼

2022.11

千鶴子



寛心

 

白樺や九月の風の明るさに
長き夜を切れ切れに見て長き夢
返答にやや間のありて秋扇
もう癒えし身なれど沁みて青蜜柑
侮りて肩に雀や案山子翁
天高してんてん手毬の数へ唄
花野来て許す心となりにけり

2022.10
千鶴子 

垂乳根

片陰の尽きひりひりと歩み出す
蟬声や能登の潮水腰で撒く
来世とはマルメロ固く実を結び
花火枝垂れて忘れたくなきことばかり
新涼や豆腐の白さ手に掬ひ
待宵草よべの名残の月のいろ
秋波寄せくる母といふ澪標

千鶴子

2022.9

信じたし

夏負けや摑みどころなき子の心
道草を知らぬ子の増え夕焼雲
時に吾も漂ひたさの海月かな
黒日傘くるくるくると人は来ず
まことの意届くを信じ肉桂水
心決むえご匂ふ森抜けてより
陶枕に頭あづけて旅の夢

2022.8

千鶴子

夢一瞬

過ぎたればみな一瞬ぞ梅雨の月
無き事としたきあれこれ百日紅
心決むえご散る森を抜けてより
飛沫き合ひつつも寄り添ひ夫婦滝
有り無しの風にあやされ鴨の雛
西瓜切る遊び疲れの午後の浜
青蘆の風に募りし旅ごころ

千鶴子

2022.7

無二

同郷の啄木賢治 桷の花


満願の出立早し徒遍路

手を焼きし子ほど愛しき紫荊

桜蕊降るや心の隙間にも

裏木戸の開く気配も朧の夜


波のこゑひねもす聴きて行く春か

同じ波ふたたびは無し春惜しむ


千鶴子

2022.6


一望

名残雪純情といふもどかしさ

蝌蚪の水さわぐや雨の来る気配

鳥籠に鳥のゐぬ日々春深し

砂時計返し返して春愁

花種を蒔きて明日へと紡ぐ夢


  微 恙あ れ ば

春日燦わが腕吊す三角巾

腕病めば花吹雪にも怯みけり

千鶴子
2022.5



躊躇


白梅のふふむも散るもまた静か

もどかしき吾の心や春の闇

する我慢ならぬ我慢や木の芽冷

春風やしくじりに知る人の情

蝶生る日ごと膨らむ子の興味

幾年を共に歩みし雛の傷

うららかや卒寿超えたる伯母三人

千鶴子

2022.4






空の音



箔糸を秘めし裏地や春小袖

初春や桃割結ひしうなじなり

追羽根のつづける空の縹色

凍蝶に重ね心の置き処

人悼む思ひに暮れて雪蛍

心へも寒波襲来鍋焦がす

巡る春父との旅を忘れ得ず

千鶴子
2022.1



こころね

遠山は冬をいそげる風の声

胸に舞ふ光のかけら黄落期

寂鮎の川ととのひぬ世の帳

柿すする毀さぬやうに己が日々

冬銀河優しき言葉待ちてをり

ほしきものなき街に出て冬夕焼

声かけて冬の金魚のいとしさよ


千鶴子

2021.12月

それとなく

秋気澄む島に清盛願ひ文

炎天や踏む飛石の濡れ羽色

焼締に水たっぷりと花薄

相席の通のすすむる新走り

踏まれても黄落ひかり失はず

萩白し看取の日々の雨の音

つなぐ手のいつか離るる露の秋

千鶴子

2021.11月


群青

大観の富士そのままに秋澄めり

夕さりのまだ熱もちて鶏頭花

竹春や葉づれの零す光とも

月山へ杖もちなほす雁の頃

山の湯の箸に重たきとろろ汁

(十周年忌を修して二句)
群青の海のまぶしさ秋燦々

忘れえぬ照葉の空の明るさも

千鶴子

2021年10月





代々

杜鵑こだます駿河一の宮

萍のそよぐと見えて鯉浮かぶ

篝火に城の影濃し涼み舟

晶子忌やおのれ貫く厳しさも

口上の祖父の名代夏羽織

蛍火や人づてにきく父のこと

遺されし厚物咲の鉢の影

千鶴子

2021.9


遠き景


めでたさや百寿の伯母の縞縮

この余生褒美だといふ夕涼み

ひらひらとそれで幸せ天使魚

ことごとく脱げし仮面や熱帯夜

夫と見し旅の蛍のはるかなる


慰めの言葉はいらず竹の秋

蛍火にいつか追ひつくこと信じ

 千鶴子 

2021.8

遠輝き

白地着て天神さまの男坂

遠囃子おまけ金魚ももう二年

北斎と同じ波見て風青し


別れたるあと打たれけり青時雨

ジギタリス叱りすぎたる夜の悔い

時返らず目瞑りて聴く青葉木菟

父の日の父の弱さを愛しめる

千鶴子

2021.7


花の袖

海風に光うねりて花エリカ

春筍をゆがく湯気さへ甘かりき

子の夢のこはれぬやうに石鹸玉

青き踏むつなぎたる手を離さずに

花の袖贅沢てふはこそばゆし

つり銭に泥の付きたり植木市

菜種梅雨とびきり辛くカレー煮て

千鶴子

2021.5

伝ふこと

寒行の羽黒二の坂三の坂

塔ふたつ一つは消えぬ春がすみ

頬白の羽搏きこぼす日のかけら

会えぬ日にいつしか馴れて花ミモザ

何せんと思へど霞追ふごとし

握る手に生くる力や春の雪

春近し娘にゆづるレシピ帳

千鶴子

2021.3

薬指

沖占むる流氷夜を軋まする

梯子乗くるりと江戸の空回し

盛り塩のとがる祇園や月冴ゆる

子より吾の弾みて踏める霜柱

薺打つひとりに余ることばかり

霜の夜や結婚指輪外さずに

マスクなほ隠しきれざる己かな

千鶴子


2021.2

今にして

起き上る会小法師雪催

月浴びて凍蝶青き翅たたむ

天地の間に遊び寒苦鳥

煮凝を崩す思ひで消すやうに

埋火や夫待つこころ今もなほ

忘るるといふ妙薬や冬の虹

冬の風刃なれども.吹かれ行く
  

  千 鶴子

2021.2

散りちりて


子ら走る銀杏黄葉の明るさに

眠りても夢に散るちる紅葉かな

水涸れし駒止井戸や石蕗の花

猫抱いて和尚の説話ふゆざくら

寒き夜を覚めて齢を諾へり

度忘れのたび重なるやかじけ鳥

譲れぬに余す後悔冬北斗

千鶴子

2021.1

深く深く

肌寒や添はぬ言葉にうなづくも

いやだとは言へぬ付合ひ花八手

幾つかの旅あきらめて夜の長き

瘡蓋のいつしかとれて小春かな

山祇に一礼したる茸汁

柿泥棒する子もをらず柿たわわ

冬珊瑚忘れたき事ありありと

   千鶴子

2020.12

見つめて

鶴首の白磁の艶や沢桔梗

見失ふ吾が影つるべ落しかな

会へずとも通ふ心や西鶴忌

指先に気づかぬ傷や火の恋し

秋の風心にもある裏表

噛みしむる母の言葉や茗荷汁

待宵や夢はどこまで夢のまま

千鶴子

2020.11

求心

灯の洩れて花見小路の秋すだれ

重ね拭く平椀六客ちちろ虫

天平の黙深き森鹿眠る

水澄むや色鉛筆の十二色

梨剥くや知らねば済みしことなれど

若さとふほろにがきもの碇星

そこそこといふ幸せや虫すだく

  千 鶴 子

2020.10 

旅を待つ心たかぶり夏帽子

老鶯や箱根細工の通し土間

朝市の隅まだ濡れて烏賊干さる

鐘涼し波立つ池に塔の影

ふと気づくほどの絆や蛍草

病む人に胡麻たつぷりと冷し汁

わが躊躇洗ひ流せし夕立かな

千鶴子


2020.9

大江戸

蓮見茶屋不忍の風吹きぬくる

大花火鉄火は江戸の心意気

役者名ののれん涼しき楽屋口

片白草縁切寺にそよぎけり

滴りの一掬しかといただけり

気持ほど抜け得ぬ草をなほ引けり

折鶴に吹き込む息や原爆忌

  千鶴子  

  

 2020.8     

 

ふ と

                                          

日輪を仰ぎ立夏を踏み出しぬ

呼ばれしか気づけば五月闇の中


昼寝の子甘え上手と泣き虫と

滅びたるものこそ愛し蛍の夜

武蔵野の夜をふるはせて青葉木菟

江戸前が自慢の亭主蝦蛄穴子

好物の鮴の甘露煮父憶ふ

千鶴子

                                            2020.7


青こだま

                                                         
 雪残る山より届く青こだま

うぐひすと揃ふ声明御影堂

一盃に心ほどくる宵の春

躓きも懐かしきこと桑熟るる

きざはしに椿散華の艶つやと

白粥に木の匙卯の花腐しかな

月おぼろいつまでも追ふ後ろ影

千鶴子

                                                        2020.6

雪ふると一人つぶやき立ちてゆきぬ 

 『岩礁』 秋櫻子

「節分大雪」中の作。昭和医専での景か。閲覧者も十名ほどの図書室。
いつの間にか窓外が白くなってきた。つと立ち上がって「雪だ」と
言いながら去ってゆく若者。教室に戻るのか家路.を急ぐのか。傍らの
学生も机上に一心に凝らしていた眼を上げあたりを見廻して頷く。
室内の空気が微妙に揺れやがて収まる。もともと静かだったのだが雪が
降ったためそれが増幅したように思われる。

小野 恵美子
2021.2



 螢来て灯れば手捕る旅ごろも                                                                      秋 櫻 子
   
『蘆雁『 浦上の句碑除幕式出席のための。十三句中の作」麦秋旅吟「 。と思い到ったに違いない 島原でのあの螢は遷子の魂だったのだ、の螢に眼を留めた時 窓外」 。窓あけて落葉松の螢見ればなし。――「明確になった への続きが」遷子君追憶「軽井沢での、ことによって次稿の 初出の排列を変え掉尾にこの句を置く。光は誰の魂だろうか 指の間を洩れる。服に止まった螢を手に囲う。最後の長崎行 
                                                                                                 
                                    小 野 恵 美子 


 

各支部の皆様へ

2021.1月

2021年から東京句会は様子を見ながら対面句会を予定しています。衛生対策をしながらの句会となります。無理のないようご参加下さい。


その先の光を求めて


馬醉木会は
会のいろいろな活動をサポートしています

2020年5月

2020年5月

2020年5月

馬醉木誌

  

そこには共感し合える

仲間がいます

句会を通して発表の

場があります

季語は日本民族の共通の感性です

季語のオアシスへ旅しませんか

馬醉木俳句会


主宰

德田 千鶴子

 『 自然の真と文芸上の真に基づき抒情と調べを大切にした俳句を
めざす』ことを標榜しています

馬醉木仲間の掲示板へ

新たなチャレンジは私たちの原動力です。作品を通じて仲間と共感する喜びがあり、楽しくも真剣に取り組んでいます。
 皆様の投稿をお願いいたします。